昨日は「グッチ(GUCCI)」の2020年クルーズ・コレクションに相当する時計の発表会に出席するため、着いたばかりのパリからフィレンツェに逆戻り!で、現地滞在22時間でパリメンズに復帰するためまだ逆戻り!!「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH以下、オフ-ホワイト)」に間に合わせるため、朝6時35分にフィレンツェを発つ飛行機をチョイス。となるとホテルを出るのは4時35分、起きるのは3時半‼︎昨晩は会食で、途中退席させていただいたものの、仕事をして寝たのは午前1時……。朝からエスプレッソをガブ飲みです。
僕にとって今季最初のパリメンズ、「オフ-ホワイト」は、会場一面に真っ白なカーネーション。ホンモノです。冒頭、列車の汽笛や車輪が動き出すようなBGMが流れたせいか、僕は「銀河鉄道999」の鉄郎を勝手に思い浮かべ、ブラックへとグラデーションするGジャンに飾られたスワロフスキーを「あぁ、星空みたいで素敵だな」なんて思いながら眺めておりました。少年時代を思い出すようで、好感度アップです。
ところが、フィナーレは一転。ナゾ、いやちょっと不快だったんです。ビートルズ(Beatles)の「ブラックバード(Blackbird)」が流れる中、モデルたちは生花のカーネーションの上を横一列になってウォーキング。フロントローからは、花がポキポキと折れる音がして、途端に悲しい気持ちになりました。これは一体、なんだったのか?わざわざ花を傷つけようとした演出ではないと信じたいのですが、黒人にエールを送る「ブラックバード」をBGMに、白いカーネーションを踏み潰して歩くフィナーレの意図は一体……⁉︎正直、気持ちの良いモノではありませんでした。
お次は「ファセッタズム(FACETASM)」。未完の美を謳ったコレクションは、左右が全然違ったり、男女の性差なんて完全に崩壊していたり。同い年の落合さんがここまでやってくれると、賛否両論を覚悟しつつ我が道を歩む僕としては励まされた気持ちに。そのお礼に(なんて言うと生意気ですが)なにかをオーダーして着こなそうと試行錯誤するーー。こういう循環が生まれると、ファッションって素敵だなぁと思うのです。
「リーバイス(LEVI’S)」や「コカ・コーラ(COCA-COLA)」といった世界的ブランドとのコラボなど盛りだくさんで、日本人として嬉しくなります。
「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」は、洋服や、その身頃をパーツとして使い、DIY感覚でアートなスタイルを作るクリエイションが安定してきました。ジレみたいなストール、身頃の大半をくりぬいて骨組みだけになったニットをシャツの上から重ね、ベーシックを逸脱しない範囲でアートやクラフト志向を発信します。
遅いランチは、ルーブル美術館の近くで。一口食べた後、慌てて撮影した写真がコレ(苦笑。スイマセン)。根菜にチーズを乗せたサラダです。ウマし。
Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」は、捻れてますね〜、洋服w。こんな洋服を着たら、屈折した人間にならないか心配。という冗談はさておき、洋服を強引に捻ると、不思議なフリルやドレープが生まれ、力強いのにエレガントになるんだと気付かされます。とは言え、まだまだクリエイションは粗め。着こなすには、着心地の悪さや人の視線など“覚悟”が試されます。
アクネ ストゥディオズ(ACNE STUDIOS)」は、光と戯れます。光を鈍く反射する光沢素材の上から、工作感覚でフィルムみたいなマテリアルをドン!ホッチキスでパチン!。斬新です。
アクネ ストゥディオズ」のモデルは、全員がマスカラ。ツィギーみたいでカワイイ!!
モデルは皆、マスカラをたっぷりつけています。ツィギー(Twiggy)みたいでカワイイ!さすがに41歳のおっさんは真似できませんが、メンズメイク、どーですか皆さん?
クリエイティブ・ディレクターを起用して2シーズン目の「メゾン キツネ(MAISON KITSUNE)」、心配です。前回は新クリエイティブ・ディレクター、ユニ・アン(Yuni Ahn)がクリエイションを学んだフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)時代の「セリーヌ(CELINE)」感が強く、正直、「コレ、『キツネ』じゃなくていいかも……」って思っちゃったトコロ。今回は、そこからは脱却したものの、経営破たん前の「カルヴェン(CARVEN)」みたいで、「『キツネ』ってなんだっけ?ユーモア溢れるトラッドはどこへ?」でした。イラスト頼みになっちゃうのはダメだけれど、もう少し本来の「キツネ」らしさが見たい。本音です。
ピッティで拝見した「ジバンシィ(GIVENCHY)」の展示会に。ウエア同様、さまざまな素材を駆使したアクセサリーが大豊作。「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」とのコラボは、すでに販売中です。たくさん撮影した写真は、別記事でご覧ください。
ヴァレンティノ(VALENTINO)」は、今シーズンもアーティストとコラボレーション。ロジャー・ディーン(Roger Dean)のイラストは、極彩色のカメレオンや恐竜など幻想的。実は大の恐竜好きで、夏休みの恐竜展に行くと数万円を散財するダメなオトナになってしまったのですが(苦笑)、そんな僕の琴線に触れてきます。
OAMC」は、「ジル サンダー(JIL SANDER)」を手掛けるルーク・メイヤー(Luke Meier)のブランド。「ジル サンダー」よりストリートのムードが強く、一方でラグジュアリーストリートとは一線を画するクリーンなスタイルを提案します。今回は上半身も下半身も二重三重のレイヤード。カッコいいけれど、このスタイル手に入れるには洋服が何着も必要だなぁ。1着だけでは、「シルエットにこだわったシンプルなウエア」って片付けられちゃいそうです。お得意はシャツ?でも、それなら「ジル サンダー」が欲しいぞ!住み分け、難しそうです。
さぁ、終盤に近づくにつれて、ショーの開始時間がスケジュールからどんどん遅れてきました。「アンダーカバー(UNDERCOVER)」は、およそ40分遅れ(「アンダーカバー」が悪いワケじゃありません)でスタート。春夏なのに、漆黒です。序盤は無地、そこにクモの巣を模したプリーツが入って、ドラキュラのパッチワーク、そして美女が描かれたブラックフォーマルへと転じます。過度の飲酒ゆえ39歳の若さでこの世を去った詩人ディラン・トマス(Dyran Thomas)に影響を受けました。
さぁ、本日最後は「ラフ・シモンズ(RAF SIMONS)」。会場は、遠いっす。めちゃくちゃ遠いっす。パリから車で40、50分。つまりもうパリじゃないんです。「パリじゃないけど、パリメンズ?」。そんなことを思いながら到着したのは、スケジュール通りならショーが始まる午後9時。
でも会場には、あんまり人がやって来ません。遠いから?夜遅いから?30分待っても、「ラフ・シモンズ」の席が埋まりません。きっと日本のラフ信者なら、ぶちギレるコトでしょう。
あまりに始まらないのでウロウロしてたら、村上隆さん発見!さらに、さっきショーを終えたばかりのピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)=「ヴァレンティノ」クリエイティブ・ディレクターと、女優のローラ・ダーン(Laura Dern)。彼女の写真は、19-20年秋冬「ラフ・シモンズ」のパッチになっています。